
アウトドア界隈で今人気が高まっている“UL(ウルトラライト)”と聞けば、特にロングディスタンスなハイキングを楽しむための、“装備の軽さ”にこだわるスタイルを思い描くはずだ。
だが、UL系ギアの魅力はただ軽さだけに留まらない。機能性の追求やデザイン性の良さなど、ULなアイテムならではの見どころがたくさんあるのだ。
今回はバックパックを通して、その奥深い世界に迫ってみよう。



特に日本でもここ10数年で広まり定着した、UL(ウルトラライト)というスタイル。不要なモノを極力省き、必要最低限、そして軽さを追求したトレイルスタイルを指す言葉で、装備の軽量化による、より長距離・長時間の行動を可能にするという考え方だ。
そんなULスタイルの代表的なアイテムでもある“バックパック”を例に挙げると、X-PACやDCF、タイベックなどの軽い生地を用いることで、容量40Lほどの大きさながら400g以下という軽さを実現したモデルもある。
シーン初期には軽量化に特化するあまり安定性や実用性、快適性を犠牲にしたモノも多かったのも事実。しかし現在はストレスのない機能や、日常使いにも魅力的なデザインを備えたモデルも出そろっているのも、ファンを増やし続けている理由のひとつだ。
アンダー1kgがもたらす
幸せとは

軽量なバックパックの恩恵は、登山やロングトレイルなどのアウトドアシーンだけで感じられるものではありません。たとえば普段のお出かけでも、荷物が軽いだけで体への負担を軽減できて楽しい時間になるはずですよね。好デザインなモデルも増えているので、コーディネートのアクセントにも活躍するはずです




ウエイト
320g
サイズ
W25×H48×D14cm
容量
38L
メイン
ファブリック
Ultra 100X
価格
¥83,000(税込)

2005年にアメリカ・フロリダ州で創業。
ジョー・ヴァレスコ氏がアパラチアン・トレイルで、長距離&長時間の使用に耐える軽量バックパックがないことに気づきガレージで製作したのがはじまり。カーボンフレームやメッシュを、UL系バックパックで初めて採用した。
フレームレス式を採用したバックパック。超高分子量ポリエチレンで織り上げラミネートした生地が、超軽量にして高い耐摩耗性と引き裂き強度を実現。大型のメッシュポケットによる視認性の高さやバックパネル部にセットできるシットパッドなど、UL系バックパックの始祖らしい確かな実用性と快適性も担保している。

最大1.5Lのボトルが収納できるサイドポケットを装備。背負ったままでも出し入れしやすいよう、ポケット口が斜めにデザインされているのもポイントだ。クッション性のある3Dメッシュストラップは3種類がラインナップ。ウェビングベルトも体型にあわせて交換することが可能だ。バックパネルにはシットパッドがショックコードで固定できる。

hinata
バイヤー
hinata バイヤー
38Lサイズでは圧倒的な軽さを誇るバックパック。5〜10kgの荷物を入れてゆっくり長く歩く際に適しているので、UL系ギア一式と水&数日分の食料が必要なロングトレイルとの相性も抜群です




ウエイト
457g
サイズ
W29×H74×D18cm
容量
36L
メイン
ファブリック
Challenge Ultra
Weave 200
価格
¥56,000(税込)

2018年に創業。アウトドアだけでなく都市でも活躍してくれるバックパックやアクセサリーを展開する。湿度が高く、3,000m級の山が多い台湾発とあって、軽さはもちろん防水性の高さに定評あり。都市部でも積極的に使用されることを想定したデザイン性にも、高い評価を得ている。
100%台湾製を誇る同ブランド。こちらは、ファストパッキング愛好家のニーズに応えるために製作されたもので、リップストップナイロンをラミネートした生地にタイダイ染めを施したナイロンのコンビ使いも見どころ。軽量で耐久性が高く、防水性も確か。ファッションアイテムとして楽しめる高いデザイン性も、まさしく同ブランドならではだ。

5mmのクローズドセルフォームを内蔵したショルダーストラップは着脱式。ボトム部分には、小物やゴミの収納にも便利なUltra Stretch生地によるトンネルポケットもレイアウトする。ロールトップを伸ばしたときにも荷物をしっかり固定できるローディングYストラップや、5Lもの容量を誇るセンターポケット、外付け荷物を固定できるバンジーコードなども装備。

hinata
バイヤー
hinata バイヤー
背負い心地が抜群! バンジーコードを引き絞るとバッグのサイズを変化できるギミックもおもしろいところ。UL装備の日帰り登山からテント泊はもちろん、普段使いにもマッチするはずです




ウエイト
590g
サイズ
W25×H77×D17cm
容量
45L
メイン
ファブリック
Ultra 200X
価格
¥59,400(税込)

2019年に繊維業が盛んなウクライナで創業。創業者イエヴゲン氏が納得できるULバックパックやシェルターなどを、完全ハンドメイドで製作している。軽量性はもちろん耐久性に優れる素材や作りに加えて、実用的な機能をシンプルなデザインに落とし込んでいるのが見どころ。
耐水性、耐経年劣化性に優れるUltra 200Xを採用した、フレームレスバックパック。ELEMENTUM PACKの意匠を継承しつつ、センターポケットをメッシュからUltra 200Xに、ロールトップの固定方法をセンターとサイドの両使いに変更し、荷物が増えた際の強度を高めている。それら工夫が凝らされつつ、シンプルなデザインにまとまっているのも魅力だ。

ELEMENTUM PACKではメッシュを採用していたセンターポケットを、Ultra 200Xに変更して強度を格段にアップ。ロールトップの固定はセンター留めとサイド留めの2WAYに。荷物の量にあわせて留め方を変えられる。ボトムにはスリーピングマットなどを固定できるループが。ウエストベルト左右には止水ジップ仕様のマチ付きポケットを装備。

hinata
バイヤー
hinata バイヤー
美しく無駄のないスマートなかっこ良さにあふれているのが魅力。センターポケットに本体と同じUltra 200Xが用いられているので、岩場ややぶ漕ぎなどのタフなシーンにも安心して挑めるはずです




ウエイト
820g
サイズ
W28×H57×D18cm
容量
45L
メイン
ファブリック
Robic Recycle Ripstop Nylon X-grid
価格
¥39,600(税込)

2011年創業。ロングハイク中にどんな環境でも快適性を担保するギア開発を思いつき、ハイカーのストレスフリーを目指す意味のブランド名を命名。登山家やトレッカーに対しでだけでなく、トレイルに跡を残さない、つまり環境にも優しいギア作りを行なっている。
リサイクル素材を使用したRobic Recycle Ripstop Nylon X-gridにより、軽量にして高い耐摩耗性と耐引裂性、そして低環境負荷を実現。シンプルなデザインの中に、歩行時の揺れを軽減する着脱式Tフレーム・大型メッシュポケット・ハイドレーション対応の背面ポケット・トルソー調整可能なウエストベルトなど、快適性を担保する多くの機能パーツをそなえる。

肩から背面にかけての負荷を軽減し揺れを抑制するTフレームは、取り外すことも可能。ボトムからトップまで続く止水ジップによりメインコンパートメントへのアクセスもスムーズに。フロントとサイドの大型にデザインされたメッシュポケットに加え、サイドには固定用のゴムストリングも。取り外し可能なウエストベルトにはベルトポーチもデザインされている。

hinata
バイヤー
hinata バイヤー
アジア人の平均体型データを元に設計されたモデル。もちろん日本人にもフィットするので、長距離の移動でも負荷が少なく快適に楽しめるはずです。デイハイクからテント泊をともなう登山で頼れることまちがいなし




ウエイト
1,006g
サイズ
W30×H60×D15cm
容量
40L
メイン
ファブリック
VirginRobic100D EXT-BK R/S UHMWPE
価格
¥45,100(税込)

2014年に創業。ミニマリズムを追求しつつ、実用性と機能性も充実させるULハイキングブランドとして2023年に日本上陸を果たしたばかり。バックパックからアクセサリーまで幅広いラインナップとシンプルなデザインが相まって、山だけでなく街での愛用者も多い。
モデル名は、木にぶら下がっているメガネザルにシルエットが似ていることに由来。軽量で耐久性に優れるVirgin Robic 100D EXT-BK R/S UHMWPE生地に加え、ボトムやサイドポケットにX-PAC VX21を使用することで高い耐摩擦性や耐引裂性を確保した。メッシュや止水ジップなど多様なポケットが効率的に配置されているのも見どころだ。

軽さが求められる本体と、強さが求められるボトムとで異なる素材を使いわけることで、快適かつ長く愛用できる仕上がりに。ショルダーストラップの根元であるバックパネル上部は、クッションごと伸縮させられる。大型のメッシュフロントポケットの下にもジップポケットを装備。ジップポケット付きのクッション入りのウエストベルトは着脱式。

hinata
バイヤー
hinata バイヤー
洗練されたデザインと周囲になじみやすいカラーリングで街にもマッチするモデル。15kgまでパッキングに耐えてくれるので、多くの荷物を携行したい数日にわたる野遊びにも活躍してくれるはず




ウエイト
460g
サイズ
W40×H50×D35cm
容量
45L
メイン
ファブリック
Dyneema Composite Fabric
価格
¥44,000(税込)

栃木県那須塩原市にある、アパレルのセレクトショップとULギアをそろえるアウトドアショップの複合店「LUNETTES +山の道具屋」が手がけるオリジナルブランド。アパレル業界が出自だけあって、機能性はもちろんデザインやカラバリにも定評あり。国内生産にこだわっている。
オールシーズンのワンデイハイキングでの使用を想定したモデル。フロントとサイドに配置された大型メッシュポケットに加え、止水ジップを採用したジップポケット、そしてトレッキングポールなどを固定できるストラップやバンジーコードなど、山行を助けてくれる機能が随所に。写真のブラックのほか、ホワイト・グレー・グリーンもラインナップ。

下部にダーツを設けることで、より多くの収納量を確保した大型のフロントメッシュポケット。サイドのメッシュポケットも大容量で、1Lのボトルを2本まとめて収納可能だ。ウエストベルトは着脱式で、外せばより軽量に。フロント上部のジップポケット内には、キーフックも装備。

hinata
バイヤー
hinata バイヤー
旅行でも活用していますが、フロントにメッシュ/ジップ付きの異なるポケットが配置されているので、モノや状況にあわせてうまく収納できるのが魅力。使っているうちにくしゃくしゃに味わい深くなるのも好きなポイントです




ウエイト
550g
サイズ
W47×H80×D17.5cm
容量
42L
メイン
ファブリック
Ultra 200
価格
¥62,000(税込)

2017年に創業・2016年にローンチした登山コミュニティから派生したブランドで、トレイルやハイクなどのアウトドアシーンだけでなく、日常でも使いやすいバックパックやウェアを展開。ハイカーの経験をフィードバックした、実用性と街に映えるデザイン性を両立している。
最大の特徴は、ロールトップを開口することなくメインコンパートメントにアクセスできるセンタージップ。ダブルジップの採用によりトップからでもボトムからでも荷物を取り出すことが可能だ。大型のメッシュポケットも同様に荷物を取り出しやすい。バンジーコードはリフレクター仕様で、山でも街でも夜間の視認性を高めてくれる。

フルオープンすれば一目瞭然、圧倒的に荷物が取り出しやすい。止水ジップが本体生地のUltra 200と共に防水性も確保する。大型のフロントメッシュポケットの上を走る、リフレクター仕様のバンジーコード。細かいギアを入れた際にも、しっかりと固定できる。バックパネルの上部にも小物類を収納できるジップポケットを配置。

hinata
バイヤー
hinata バイヤー
フロントファスナーや大口メッシュポケット、リフレクターゴムなどはそのままに、テント泊にも対応できる42Lサイズに進化。スマートフォンなどのガジェット収納に便利な、小物用ポケットもバックパネルに追加されています

軽くて機能的、耐久性にも優れるとあって、トレイルも日常も助けてくれる40LサイズのUL系バックパック。
雨後の筍のように、機能性もデザイン性もブラッシュアップされたモデルが多く登場する昨今だからこそ、
しっかり見極めて自分だけの相棒を見つけるのがおすすめだ。