ウルトラライトの傑作ブランド
Zpacksを
知っているか。
90年代に誕生したウルトラライト・ハイキングというスタイル。それまでの重く、無骨なバックパックやギアから不要を省き、必要最低限、最軽量を追求するのが特徴だ。そんなシーンで、今多くのユーザーから支持されているのがZpacks(ジーパックス)。日本にウルトラライトシーンを広めた第一人者である土屋智哉さんのレコメンドと共に、その世界を覗いてみよう。
ウルトラライトという概念が広く定着する少し前の2004年に、アメリカ・フロリダ州で創業。全長約3,500kmに及ぶ超ロングトレイル、アパラチアン・トレイルに挑戦しようとしていた創業者ジョー・ヴァレスコが、長距離・長時間の使用に耐える軽量バックパックがないことに気づき、自ら製作したのがその始まりだ。当初、ウルトラライトはまだ一般的ではなかったため、プロフェッショナル向けの超軽量に特化したバックパックを製作していた。しかし、ウルトラライトが広く普及した昨今では実用機能や快適性といった要素も取り入れており、幅広いユーザーを獲得している。
軽量性と安定性を両立するカーボンフレームを採用したバックパックをはじめ、様々なアクセサリーの生産もほぼアメリカ国内にて。今やアウトドアにおける筆頭勢力となったウルトラライトシーンにて、リーディングブランドと評されている。
日本におけるULの
第一人者が語る
Zpacksの
マスターピースたち。
ハイカーズ デポ オーナー
土屋智哉氏
1971年、埼玉県生まれ。大学時代に洞窟探検に没頭。卒業後に大手アウトドアショップでバイヤーを務める中で、ウルトラライト・ハイキングに出会う。2008年には約340kmもの距離を歩くジョン・ミューア・トレイルを踏破し、同年に三鷹に自身のショップであるハイカーズ・デポをオープン。著書『ウルトラライトハイキング』(山と渓谷社)などを通して、ウルトラライト・ハイキングの魅力を伝える。
ブランド設立当初は、いわゆるガレージブランドといった印象でした。マス向けではないため、とにかく軽量性を追求した当時のバックパックは、使用方法をちょっと間違えるとすぐに壊れてしまうようなものでした。しかし、2010年頃からウルトラライトというスタイルが一般に広まり、様々なブランドが登場するように。その中でZpacksも次第に変化。特に背中にバックパックの背面が密着しないカーボンフレームやメッシュの採用は、ウルトラライトブランド界隈ではZpacksが初めて行いました。それら快適性との融合により、現在では一般ユーザーも安心して使えるブランドになっています。
バランス型ウルトラライト
Arc Haul Ultra
40L Backpack
¥95,000軽量にして耐水性、耐摩擦性、耐引裂性に優れるウルトラ100X素材を採用。ウルトラライトらしく超軽量に仕上げながら、背面にはカーボンファイバー製フレームをセットすることで、安定感の確保と腰への負担軽減を実現している。
耐荷重:18kg
本体寸法:W31.8×H74×D12.75cm
容量:40L
超軽量を徹底すると快適性が犠牲に。このバックパックは、カーボンフレームによりその両立を図っているのが見どころです。ただし、カーボンはねじれや集中衝撃に弱く、長時間使用時に破損する可能性があることを念頭に置いておきましょう。
理解するのに理想的
Sub-Nero Ultra
30L Backpack
¥60,500超高分子量ポリエチレンで作られるウルトラファブリックが、軽さと耐水性、耐摩擦性、耐引裂性を確保。フレームレスなので、より軽量に仕上がっている。さらに背面にはシットパッドが付属。背中への圧力分散を兼ねてくれる。
耐荷重:9kg
本体寸法:W25×H48×D14 cm
容量:30L
初心者でも安心して使えるモデルです。普段使いしても良いのではないでしょうか。極軽量にして、メッシュのフロントポケットにサイドポケットも完備。ロールトップ形状は、昨今のウルトラライト系バックパックのスタンダードになっています。
付属品:スタッフサック、
リペアテープストリップ、
予備ジッパースライダー×2
ウルトラライトの真髄
Plex Solo Lite Tent
¥138,000わずか340g程度と極軽量にして、バスタブフロアに前室とソロ用テントとしてしっかりと休息が取れる設計が見どころ。132cmのトレッキングポールで設営が可能とあって、荷物をより軽減することが可能に。収納時も15×30cmとコンパクト。
外寸:W254×H132×D157cm
内寸:W230×H132×D71cm
その名からバックパックの印象が強いブランドですが、アメリカ本国ではテントの評価がすごく高いんです。その理由は、とにかく軽い!バグネットもフロアもちゃんとあるのにごく軽量なんです。軽さに振り切っている分、耐久性や耐風性には注意が必要です。