暮らしに必要なものは自分たちで作るのが当たり前だった時代。そこに暮らすほとんどの人が野良仕事に就く山深い東北地方で、快適に農耕作業を行うために生まれたのが野良着(のらぎ)という衣服です。
岩手県で暮らしの道具を作っている老舗染物店のブランド“縁日”(エンニチ)は、伝統的な野良着をアップデートさせ、野に入るのに最適な“今”の野良着を作り上げました。先人たちの暮らしの知恵を活かしつつ、そこに現代の技術を凝縮させた高機能な一着。どこまでも理にかなった無骨な風貌は、あるがままの自然を受け入れ、そこで生きるブッシュクラフトの考えと共鳴します。今回は、野良着の歴史をひも解きながら、ブッシュクラフトでどのように活躍するか紹介します。
野良着とは田畑や野山で作業するときに着用する服のこと。日差しや雨風、草木などによる外傷から身体を守り、快適に過ごすための知恵が詰め込まれています。
丈夫さの求められる野良着にはおもに麻が使われましたが、寒さの厳しい東北地方では麻は貴重な資源。肘や膝、腰回りなど特に破けやすい場所には服の上からハギレを何枚も重ねて強度を高めたほか、一着を何度も修繕して長く着続けるのが当たり前でした。布を重ねることは過酷な寒さから身体を守ることにも繋がり、結果として「当て布」や「刺し子」といった特徴が東北地方の野良着を象徴するデザインとなりました。
東北に伝わる仕事着
「山シャツ」。
山シャツは野良仕事をするときに着用していた仕事用のシャツのこと。カフスボタン付きの詰襟シャツという朴訥としたデザインは、首・手首周りに隙間をできづらくするためのもの。木屑や土が服の中に入りにくいため、野良仕事に最適でした。
2021年、そんな山シャツを現在の暮らしにも取り入れようと作られたのが縁日のYAMA SHIRT。愛着をもって長く着られるように、「丈夫さ」に特化した一着です。服は着るたびに消耗していくもの。生活していくなかで生地が擦れ少しずつ弱くなっていきます。
本来なら生地が薄れ弱くなった後に当て布などをし補強しますが、YAMA SHIRTは“お直しの先回り”という発想で、特に消耗しがちな部分が最初から補強されています。「一着を長く着る」。そんなシンプルな想いが強く込められているのが、このYAMA SHIRTです。
あらかじめ随所が補強されたYAMA SHIRTは、野山に溶け込んで活動するブッシュクラフトに最適です。薪を肩にのせ運ぶ。ノコギリで薪を切る。ナイフでフェザースティックを作る。動きの中であちこち擦れてしまっても破けにくく、ガシガシ着用できます。また後ろ身頃が長めに設計されており、座ったときにパンツが地面に直接つかずに済みます。
胸や腰回りには大きめのポケットを配備。ナイフやグローブなど、ブッシュクラフトに必要な小物を収納できます。
身体に馴染む
万能ズボン
猿袴(さるばかま／さっぱかま)はその名の通り猿のように軽快に野山を動くための袴のこと。腰回りはゆとりがあり、膝から裾にかけてキュッと絞られたシルエットが特徴的です。野良仕事の作業着としてだけでなく、古くは神楽など伝統芸能の衣装としても着用されていました。
縁日のSAPPAKAMAは、昔ながらのシルエットをそのままに、生地の柔らかさと立体的な縫製にこだわり作られています。生地は使い込むほどに柔らかな肌触りや、色合いに育つリネンコットンキャンバス地を使用。保温性や通気性にもすぐれ、季節問わず着用できます。またふくらはぎ回りは昔ながらの猿袴の形を採用しつつ、動きやすさと着心地の良さを実現させるため、何枚ものパーツを組み合わせた立体裁断を採用。身体に馴染むSAPPAKAMAはアウトドアや街中、部屋着など幅広く着用できます。
SAPPAKAMAは野良仕事で重宝されていた猿袴のシルエットをそのまま採用しているため、拠点の資材や燃料集めに山中を散策するのに最適。ふくらはぎ部分の立体裁断により動きやすく、大きな木なども乗り越えていけます。膝から下はキュッと細身になっているため、尖った枝などが裾から入り、身体を傷つける心配もなし。
両もものサイド部分には深めのポケット付き。高さ20cmほどのボトルがすっぽり入るため、余計な荷物を携行することなく、身ひとつで野山を散策できます。
縁日の
永久修繕
縁日は職人が作り上げた一着それぞれを育てていきたいという思いから、YAMA SHIRT、SAPPAKAMAともに永久修繕保証が付いています。アウトドアフィールドで破けてしまっても、無料修繕が何度でも可能。プロの手で一着ずつ、当て布や色とりどりの刺しゅうを施してもらえます。
※傷の状態によっては修繕できない場合や、料金が発生する場合がございます。
